その30
・30
しょぼしょぼと肩を落とし陣地へと帰る剣士リ・ガズィ。
「こんなことに何の意味が…」
顔を上げた剣士リ・ガズィの目に飛び込んだのは
法術隊と戦士隊であった。
騎士アレックス
「時間稼ぎご苦労であった。
少し休んで夜明け討ちのつもりで用意しておくがいい。
奴ら何もしてないとはいえ敵に城をとりかこまれて、
この数日過ごしたんだ。疲れがないわけがない。
それにここは我々の土地勘が働く、
眼をつぶってでも自由に動けるさ」
アルガス城、地下牢にて
闘士ドーベンウルフ
「こんなのおかしいだす!
兄貴は何にも悪くないだす!」
戦士ガブスレイ
「呪術士ビグザム…様のやり口は、
つまり、負け戦の様相をおびてきたのでその罪を、
闘士ケンプファー様に擦り付ける、という魂胆でしょう。
剣士リ・ガズィを討ち取らなかったのは義勇軍側にとって最も侮辱になるから…。
そのほうが我らの士気も上がります。
闘士ケンプファー様に非などあろうものですか」
「うーむ」
闘士ケンプファーは独房内で、
黙って考え込んでいる様子だった。