その14
・14
荷馬車は積荷であるワラを捨て去り、
フルスピードで南を目指していた。
荷台の剣士ジムスナイパーⅡは後方を見て大声を上げる。
「奴らだ!こっちの正体に気づいてつけて来たぞ!
騎士団長代理、速度を上げてください!追いつかれてしまいます」
剣士リ・ガズィ
「これ以上は無理だ。馬車が軋む音が聞こえる。
走行中に馬車が分解してしまうぞ!」
その間もなく車輪が外れ、みなは投げ出されてしまう。
荷馬車につながれた馬は逃げてしまった。
剣士リ・ガズィ
「いたたた…
みんな無事か?」
捻挫や打撲を負いながらも、
みなは自分の足取りで南下を続けた。
小一時間ほどで闘士ドーベンウルフと戦士ガブスレイが目の前に迫って来た。
馬を持たなくなった騎馬隊は剣を取りつばぜり合いを繰り広げた。
腕の立つ闘士と戦士に騎馬隊は劣勢で、剣士は次々とねをあげその場に倒れこみ、
そして大半は殺された。
最後に残ったのは二刀流を駆使した剣士リ・ガズィだけで、
彼は二人を相手にしなければならなかったが、
岩場の間に逃げ込みほぼ防御に徹することで猛攻を凌いだ。
しかし、彼が持ち堪えられるのも時間の問題であった。
その時、岩場の頂に人影が現れた。