その59
・59
剣士リ・ガズィ
「…本当に僕の分身なのか?」
リ・ガズィシャドー
「あぁ、そうだ。
だから、お前のことは何でも知っている。
アルガス騎士団の規律の中で、
常に周りを気にしてたお前が上官の剣士ゼータの背中に見ていたのは、
憧れというよりは、むしろ嫉妬だった」
剣士リ・ガズィ
「いや、違う!
僕は剣士ゼータに憧れていた。
いつかはあぁなりたい、
その一心で俺は…俺はアァァ!!」
リ・ガズィシャドー
「まぁ、落ち着けよ。口にしなくたって分かってるんだぜ。
そうだよな、憧れもあったよな。誰よりも誰よりも俺が知っている…。
でも、憧れと嫉妬を同時に持つ自分に気づいちまった。
そして自分には剣士ゼータほどの才能がないことにも…。
我ながら泣けるよなぁ」
剣士リ・ガズィ
「………」
リ・ガズィシャドー
「相反する感情を抱くと、
葛藤や罪悪感を生み」
剣士リ・ガズィ
「………黙れ」
リ・ガズィシャドー
「それが自己嫌悪の温床になった」