序章
その日、
ムンゾ帝国との共同軍事演習の日程打ち合わせを行ってきた騎馬隊は
アルガス城へと帰るところであった。
澄みきった夜空を横切る流れ星、
瞬時に剣士リ・ガズィとその部下剣士ジムコマンドは空を見上げ、
無意識に息を呑んだ。
剣士ジムコマンド
「そろそろ捜索の件はお伝えしたほうがよいのでは?」
剣士リ・ガズィ
「わかっている…まだ捜索を打ち切るわけではないが、
明日にでも経過報告をしようと思っていたとこだ」
翌朝
法術士の生家の屋敷の扉がノックされ、
剣士リ・ガズィは伝えた。
「申し上げにくいのですが、
ご子息の行方は未だ確認できておりません…」
老人は古びた本を読みながらつぶやく
「…生きものの生死とははかないもんぢゃな。
長剣をあやつる騎馬隊隊長も、今は老いぼれ。
死ぬことが予定に入った」
剣士リ・ガズィは重たい足取りで屋敷をあとにし、
誰にも聞こえぬようにため息をついた。